異界からの少女―行動開始―


山賊達はものの一瞬。
本当にあっという間の出来事だった。
「口の割りには弱かったな」
冷血な眼が山賊を見下す。
「くっ・・・」

(凄い・・・・・あっという間に・・・)
セツナはちらりと雪那を見る。
先程の攻撃、そして速さ・・・
人としてなら考えられない程の速さだった。
(本当に・・・この人は何者なんだろう・・・・?)
すると視線に気づいたようで
雪那がこちらを向く。
「私の顔に何か?」
「あ、いえ・・・」
「そうか。
さて、こいつ等から情報を聞き出し・・・」
「お姉ちゃん!」
壁からひょっこりと顔を出したのは
昨日と同じくミカであった。
「ミカさん!?」

「お姉ちゃん、これで全部やっつけ・・・」
パタパタと小走りに近づいてくる。
と、倒れていたはずの山賊がもぞっと動く。
その気配に気づいた雪那はすぐに声をかける・・・が、
「馬鹿者!!こちらに来るなっ・・・!」
「遅いってんだよ!!」
山賊は素早く動きミカを盾にする。
喉仏にナイフを突きつける。
緊迫した空気が再び流れ始めた・・・。

「ちっ・・・だから、来るなと・・・」
「残念だったなぁ。
悪いが撤退させてもうらうぜ、逃げるが勝ちってな!
おぉっと、後を追っては来るなよ?
餓鬼の命がかかってんだからな」
そう言うと山賊達は立ち上がり
いそいそとに乗ると走り去って行った。
逃げの速さは流石と言うべきか・・・。

「・・・・・・・・黒識」
「わぁってる!」
雪那の一言で屋根の上から見ていた黒識が
山賊達の後を追いかける。

「!?ぇ、ぉ、追ったらミカさんがっ・・・!」
「大丈夫だ。
あぁ、見えて黒識は忍びだ。
それに、やすやすと気配がばれるような間抜けでもない」
「・・・・・・忍び・・・?
黒識さんが・・・?」
「あぁ・・・。
さて、私達は作戦を立てるぞ。
アジトの場所によっては戦いにくくなるからな」
「あ、はい!」

そして話が始まる。
真っ向勝負で相手に向かっていくよりも、
奇襲攻撃をかけた方が良いと言う事。
相手の人数からしてそちらの方が
有効であると判断したのだ。
また、奇襲は二手に分かれて行う事にした。
と、言ってもセツナはまだ弱い・・・
デメリットが考えられる為、雪那とセツナ
そして黒識は単独と言う事になった

「これ以上は無理か・・・。
あとは黒識の報告待ちだな」

それから暫くして
黒識が戻ってきた。
「ご苦労・・・で、どうだった?」
「こっから見えるあの山・・・
その山の奥の洞窟に潜んでやがるな。
場所は覚えてるから今すぐにでもいけるが・・・」
「洞窟か・・・そうなると作戦を少し変えなければな」
「作戦・・・?」
「あぁ、二手に分かれて奇襲作戦と行こうと思ったが・・・
洞窟では出入り口は一つ・・・で、あろうな」
「じゃぁ・・・どうするんですか?」
雪那はその質問に間髪居れずにこう答えた。
「ふむ・・・詳しい事は行きながら話す。
行くぞ・・・」
「ぇ・・・今すぐにですか?」
「当たり前だ。
人質は餓鬼・・・。
用がなくなればすぐにでも殺されるだろうし、
相手は山賊、人売りに餓鬼を売られるかもしれん」
「!・・・分かりました。
急ぎましょう」
「よし、行くぞ黒識!」
「あぁ」

二つ返事で答えると
地面を軽くける。
そして、トンッと言う音と共に
軽やかに木の上へと着地した。それは、雪那も同様に・・・
「ほら、貴様も走れ」
「ぁ、は、はい!!」
必死に下の道を走るセツナ。
その上はトントンと軽やかな音を立てつつ
木から木へと飛び移り進む雪那と黒識。
雪那はスカートのうえ、背中に帯剣を背負っていると言うのに・・・。
人並みはずれた運動神経と言うべきか。


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